陶芸で利益を出すには

陶芸

前回の「陶芸家になるには」の記事で利益を出すのが難しいとご説明いたしましたが、今回は、少しでも利益を出すためには何をすればいいかを書きたいと思います。

これから「陶芸の仕事で食べていきたい」と考えている方の参考になれば幸いです。

 

制作に時間をかけすぎない

これは言うまでもなく、時間がかかればかかるほど製造原価が高くなり、利益が減ります。だから、必要以上に手の込んだデザインや複雑な形状の器を作っていては儲けが出ません。

普段使いの食器は、美術品のように豪華絢爛でなくても構わず、お客さんもそこまで求めていません。シンプルな器の方が、作る側にも、使う側にもメリットがあります。

 

手間のかかる器は価格も高いので、そもそも売りにくいですし、買ってくれたお客さんも「割れたらどうしよう」と神経を使うと思います。最初のうちは満足気に使っていてもそういうことが毎日続くと、だんだん疲れてきて「この器は特別な日だけに使おう」となり、食器棚の奥に追いやられるでしょう。

それに、奇抜なデザインの器はすぐに飽きられます。苦労して作ったのに、全く使われていなかったら悲しいですよね。

 

形を早く作れる成形技法は、ろくろ、圧力鋳込み成形です。ろくろは高度な技術が必要なのに対し、圧力鋳込みは比較的簡単に大量生産が可能です。でも後者で成形したものに、水玉やラインのみといったシンプルなデザインの組み合わせは避けた方がいいです。誰でも作っているのに、わざわざ何の特徴もない作家の商品を選ぶ人はいませんし、大手の陶磁器メーカーに価格で負けます。

例えば、成形は手間がかかるから絵付けはシンプルにしようだとか、土は上質なものを使っているから、釉薬は汎用性が高い安価なものを使おうといった、バランスが大事です。

 

独りよがりの高度な成形テクニック、華美な装飾、何十種類も調合した自慢の釉薬、最高級の土、最新鋭の設備……なんでも度が過ぎるといいことはありません。

私は、手を抜くことや材料をケチるのを勧めているのではありません。限られた時間の中でいかにいい器を作り、お客さんが購入しやすい価格で売るか。それを実現するためには1秒でも早く、完成度の高い器を制作しなければなりません。

 

規模を大きくしない

今は、小規模でも臨機応変に対応してくれる窯元が求められていると感じます。もう大量生産、大量消費の時代は終わりました。

確かに、窯は大型の方が利益を出しやすいですが、少人数でやっている場合は窯をいっぱいにするのに時間がかかりすぎてしまいます。窯を焚く回数が減ると、当然、納品が遅くなるので、商品を発注する小売店や飲食店からするとその窯元には頼みづらいですよね。

 

だから窯が小さくても回数を増やせばいいだけです。それに、窯をはじめとする工場の設備も災害や予期せぬトラブルが発生した時に、被害が少なくて済みます。

また、工場が無駄に広いとデッドスペースが生まれやすくなります。そうなるぐらいなら、棚などの収納道具を設置して狭い空間でも上手く利用する方が得策です。

究極、1人でこぢんまりと作陶するのが一番いいかもしれません。失敗しても損失が少ないのは本当に重要です。

 

メーカー直販

店舗販売にしろネット販売にしろ、窯元が直接お客さんに売ると利益が出やすいです。販売した価格が全部自分に入ってきますからね。ただ、販売経費は想像以上にかかります。

砥部はほとんどの窯元や製陶所に工場併設か敷地内に店舗がありますが、さらに別の場所に出店するとなると家賃が必要ですよね。額は異なりますが、ものすごい田舎でも都会の一等地でも、絶対に払わなければいけないものですから、出店する場合は出来る限り人が多く集まる観光地がいいと思います。

 

販売員を雇うなら人件費もかかります。梱包資材や、配送料もばかになりません。また、クレジットカード決済を導入すれば、決済代行手数料と月額利用料も……

しかもネット販売は、楽天、ヤフーなどのECモールだと高額な利用料を請求されます。自社サイトなら主にドメイン、サーバー代、ショップカート利用料、決済代行手数料がかかりますが、モール型サイトに出店するより遥かに安いです。

どこのショップカートがいいかは、比較サイトがいっぱいあるので、それを参考に自分に合うものを選ぶといいでしょう。

 

自分では販売をせずに、小売店や問屋と取引の契約をして、製造に集中するのも一つの戦略です。むしろ1人で窯元を経営している人は、その方がいいかもしれませんね。接客をしている時間に、ものを作れるわけですから。

もはや直販は時代の流れです。昔は必ず間に問屋が入っておりましたが、問屋からの注文が減ってきている昨今では、メーカー自ら販売しないと共倒れになってしまいます。

しかしながら、長い付き合いがある取引先を蔑ろにしてはいけません。販売力は圧倒的に小売店が上ですし、持ちつ持たれつ関係です。自分の会社が厳しい時は取引先も厳しい状態ですから、お互い手を取り合って業界を盛り上げるべきです。

 

技術を磨いて商品単価を上げる

陶芸業界はかなり前から機械化が進んでいて、どこの産地に行っても、機械で作っているところが多いです。機械の操作方法を教えてもらい何度か作っていると、陶磁器製造の経験がなくても形にはなります。

ですが、ろくろは未経験だと形にすらなりません。製品を出荷できるレベルになるまで、長い年月を要します。だからこそ、ろくろ成形には価値があるのです。

 

誰でも作れる機械の仕事は、当然安いです。単価の安いもので利益を出そうとすれば、大量に作らなければいけませんが、大規模なプラントを持っているメーカーには太刀打ちできませんよね。

難しいろくろ成形でも正しい方法で修練すれば、必ず上手くなり、高単価のものを自らの手で生み出すことができるようになります。絵付けもまた然り。

機械の製品はダメだとか、そういうことではありませんよ。機械もそれなりに技術が要りますし、ろくろやタタラ成形などの技術が未熟なうちは、機械で作った器の方が質はいいですからね。

 

とにかく続ける

最終的には、とにかく続けるしかないということです。逆に、続けてみないと分からないことなんて山のようにあります。ろくろに関して言うならば、高台削りの作業で、慣れないうちは必ずと言っていいほど、クラック(ひび割れ)が入ります。でも何度も繰り返しやっているとにいつの間にかそうならなくなります。

毎回出てきて頭を悩ませたあのクラックは一体どこに消えたのかと考えていると、次第に原因が分かってきます。小さな発見は意外と面白いものです。

 

仕事が自分に合わない場合や収入の面で厳しい状況なのであれば、何事も潮時がありますから、思い切って諦めることも時には必要です。体や精神が悲鳴を上げているのにそれを無視するわけにはいきません。

しかし、努力して無心に突き進めば道が開ける時もあります。陶芸に限らず、同じ仕事を何年も続けていると、自分の好きな事や得意分野が分かってきます。それが分かるとしめたもので、そこを伸ばしていくだけです。

苦手なことを克服しようと躍起になるくらいだったら、好きな事、得意な事をすると自分も周りの人も幸せになると思います。

 

私自身、親が陶芸の仕事をしていたのでなんとなく始めて、最初の頃は指示されたことをただ漠然とこなしていただけでした。正直言うと、給料も安いし細かい作業で神経が磨り減るしで、あまり好きになれなかったです。それだけならまだしも、周りの人に陶芸の仕事をしていると言うと、決まって「あー壺を作ってるんだね」とか「そんな仕事で生活できるの」とバカにされたものです。

相手は冗談半分でバカにしたつもりじゃなくても、言葉は受け取る側によって解釈が違いますからね。いろいろ嫌な思いをして、一時は陶芸から離れてフラフラしておりましたが、数年前この仕事に戻り、今でも何とか続けています。続けているからこそ、私はこうして取るに足りないブログを書いています。それは私なりに楽しみを見つけ、やりたい事は何でも実行してきたからに他なりません。

 

この文章を読んで下さっているあなたも他人に何と言われようが、自分で道を切り開いて、できる限り続けてください。石の上にも三年です。

 

まとめ

陶芸の仕事で、家族を養えるほど利益を出すのは本当に難しいことです。そういった事もあり、私の知る範囲では独身の人が多いです。自分1人なら切り詰めて生活できなくはないですが、結婚して、子供を作ってとなるとなかなかです。

普通の生活を望みたいのであれば、陶芸はやめておいた方がいいです。でも上記で書いた通りのことを実行していただければ、利益が出て人並みの暮らしができるかもしれません。

  • 技術を磨くこと
  • 販売力を上げること
  • 続けること

いろいろ書きましたが、この3つは特に重要です。続けているといいことがあると信じて頑張りましょう。

コメント

  1. hitomi より:

    2つのブログを続けて読ませてもらいました。とにかく頑張って下さい!としか言えない…。そして私は、これからも砥部焼を使い続けます。

    • teru teru より:

      いつもコメントしていただきありがとうございます。本当に励みになります。返信が遅いですが、必ず拝見しておりますので……